2016年8月24日水曜日

国際NGOによる、ジェネリック医薬品へのアクセスに関するRCEP参加国政府への要請


 7月末にマレーシア・クアラルンプールにて行われた「RCEPに対するNGO国際会合」に参加した団体が中心となり、下記の国際共同要請文をリリースしました。

  RCEPには知的財産、ISDSなど様々な問題がありますが、日本ではほとんど理解されていません。TPP同様、PARCでは今後RCEPに対するウォッチとロビイングを強化していきます。ぜひご覧ください。

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公衆衛生と健康に関わる市民組織は、
RCEPにおいてジェネリック医薬品へのアクセスに
悪影響を及ぼす条項を拒否することを各国貿易大臣に求める

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東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、ASEAN10カ国(ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と、ASEANとFTAを締結している中国、インド、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国の計16カ国で現在交渉中の自由貿易協定である。特筆すべきは、ここには米国は含まれていない。

 RCEPには、知的財産(IP)に関する章があり、生命を救うために欠かせない医薬品へのアクセスに関わる内容が書かれている。2016年4月にリークされた文書によると、韓国と日本は、医薬品特許による独占期間を延長する規定と、データ排他性に関する規定を提案していることがわかった。これは、入手可能なジェネリック医薬品が市場に出ることを遅らせることにもつながる内容であり、またWTOのTRIPS協定が求める知的所有権の保護規定を越える内容である。

 この章によって特に、特許の保有者と市民の健康への権利との間の公正なバランスを保つことを目指しているインドの知的所有権法に対する影響が懸念されている。

インドは世界最大のジェネリック医薬品の製造国であり、世界の低中所得国(LMIC)におけるHIV感染者に対する抗レトロウイルス(ARV)ジェネリック薬の80%以上を供給している。インドのジェネリック医薬品産業は年月をかけて、ARV薬のコストを最大98%も下げてきた。それによって必要な医薬品にアクセスできる人の数は劇的に増加することになった。

 もしインドがRCEPで「TRIPSプラス」の規定に署名することを強制されるならば、世界でも最も貧しい低中所得国の人々が、入手可能なジェネリック医薬品にアクセスできなくなるという深刻な危機に直面する。たとえば、マレーシアはインドでは一般的なARV薬を国内のHIV陽性の人びとに無料で提供している。もしマレーシアがインドのジェネリック薬にアクセスすることができなくなれば、マレーシアはこれまでのようなHIV患者への治療プログラムを継続することができなくなる可能性が非常に高い。

 RCEPには、インドネシア、フィリピン、タイ、中国、ベトナムのように、入手可能な医薬品へのアクセスを確実にするには巨大な人口を抱え、また経済的に困難を抱える低中所得国も含まれている。ラオス、カンボジア、ミャンマーの後発開発途上国(LDC)は、入手可能な医薬品へのアクセスを提供するために苦労しており、WTOの医薬品の知的財産保護規定を2033年まで延長するため努力をしている(これらの国がLDC諸国である限り、延長する資格があることを求めている)。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、アジア太平洋地域でHIV治療を必要としている人のうちわずか3分の1の人びとしか実際にその治療にアクセスしていないと報告している。もしRCEPが知的所有権保護の高い水準で同意されれば、治療にアクセスできない人の数は増加するだろう。

 RCEPのような地域貿易協定において知的所有権に関する章を正当化する理由はない。
私たちは、すべての交渉国に、RCEPにおいてあらゆる「TRIPSプラス」措置を拒絶することを求める。特に、韓国や日本、オーストラリアやニュージーランドのようなより豊かな国に対して、世界の貧困層の医薬品へアクセスを脅かす知的所有権の条項を押しつけることをやめるように求める。


※現在、署名団体は集約中。9月上旬に各国政府に提出予定。

2016年8月12日金曜日

新たなメガ貿易協定:RCEPはアジアの農民の種子にどのような意味を持つのか?


RCEPに関して、日本国内ではほとんど報道がないが、アジアの人びと、とりわけ農民からは危機の声が上がっている。しかもその矛先は、日本が提案している中身に直結している。
農民や先住民族が長年当たり前のように行ってきた、種子の保存や交換が、RCEPで企業の知的所有権が強化されることで、できなくなる危険だ。同じ規定はTPPの中にも含まれており、まさに企業による種子のさらなる支配が今以上にグローバルに進むことになりかねない。

今回は、国際NGOであるGRAINによる報告書の翻訳をご紹介します。


新たなメガ貿易協定:
RCEPはアジアの農民の種子にどのような意味を持つのか?

GRAIN201637日)


翻訳:内田聖子
※無断転載禁止


20162月、議論の末、アジア太平洋地域の12か国をカヴァーする新たな貿易協定、TPPがニュージーランドにて署名された。米国によって牽引されてきた交渉の結果、TPP協定は中国を除外する形で、いくつかの選ばれた国の中での巨大な貿易と投資を目的とするものである。TPPは農民たちが種子を手に入れ、種子を管理していく行為に大きなインパクトを与えるであろう。しかし、アジアではRCEPという別の「メガ」貿易協定がうごめいている。GRAINによる本レポートは、RCEPがこの地域で農民の種子にどのような意味を持つのかを、最近署名されたTPPとの文脈の中で考察するものである。

★新たな貿易協定における種子についてのより強烈なルール

TPPに続いて、もう一つの地域貿易協定が現在交渉されている。この協定は農民の種子に規制を押し付けるものである。TPPほど知られていないこの協定はRCEPといい、東南アジア諸国連合(ASEAN10か国(=ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と、ASEANと自由貿易協定(FTA)をすでに締結している6か国(=オーストラリア、中国、インド、ニュージーランド、日本、韓国)の貿易協定である。TPPが世界貿易うち8億人、13%を占める一方、RCEPはその4倍以上の人口をカヴァーする。つまり35億人、世界貿易の12%である。
他のFTAと同様に、RCEPが適用される分野は広範囲で、モノとサービスの貿易から、投資、経済的・技術的な協力、知的所有権、競争と紛争解決メカニズムまで含まれている。RCEPTPPを「より控えめにした」バージョンの貿易協定と思われており、関税削減という調和の要求は弱く、基準も低く、さらにその速度も遅いことから、多くの人は、RCEPは低所得国・中所得国に有利なものだと考えている。しかしリークされた交渉テキストは、アジアの農民による種子の管理と、先住民族や地元の人びとによる伝統的な知識の行く末にとって、RCEPには深刻な懸念が含まれることを提起している。

★種子:農業の支柱

農民は、土壌の種類や食性、家畜の需要、気象パターン、水の利用可能性そして地域の文化など数々のことを考慮した上で作物を選択する。彼らは自ら種子を保存し、自由に交換するという長い伝統を持っている。そして、異なる種子をかけあわせ、次の作付時期に向け種子を蓄えてきた。しかし、これらの伝統は、もはや当たり前のことではない。1960年代の「緑の革命」以降、アジアの農民は、農民の種子をいわゆる高収量品種へと切り替えさせるための政府と企業による計画によってひどい打撃を受けてきた。今日では、西洋諸国の遺伝子組み換え(GM)種子企業は、中国のハイブリッド米の種子生産者と同じように、アジアへの種子の供給を支配するため争っている。

これら企業は、農民の種子よりも自社の種子の方が「優れている」といって販売を促進する。その目的は、最終的に農民の種子に取って代わるためである。さらに、企業は種子の私有化を許可するよう種子に関する法律を改訂するよう政府へ圧力をかける。アジア太平洋種子協会によれば、農場にて保存された種子はアジアで使われるすべての種子の80-90%を占める。種子産業は、この自給自足の地域供給を、商業的な種子へと入れ替えることを望んでいるのだ。

種子を支配し独占しようとする企業の圧力は、さまざまな形態をとる。ある戦略では、植物種の保護か、特許権をとるかのいずれかを義務づける知的所有権に関する法の策定を通して、種子の私有化の圧力を相手国にかける方法がとられる。しかし他の法律を策定した場合も同じような効果を持つ。例えば、種子の承認に関する規則やマーケティングに関する規制、食の安全管理体制などがそうである。地理的表示(原産地表示)のように、知的所有権に関して「ソフトに」見えるルールであっても、農民が自らの種子を蓄え、交換し、売ったり植えたりすることを違法行為とすることが可能なのである。
貿易協定は、こうした種類のルールを政府に実行させるための格好のメカニズムとなった。1995年以降、世界貿易機関(WTO)は、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)」という特別な取り決めを有している。これは参加国すべてに種子の私有化を強制するものである。しかしモンサント社やシンジェンタ社のような種子企業にとって、WTOでの合意は不十分なものにとどまっている。

★リーク文書が示すほんとうの危険性

2015年、市民社会組織が、RCEP交渉中に日本、韓国、インド、ASEAN事務局から提案された知的所有権(IPR)についての協定文のリーク文書を発表した。この文書から、農民の種子に対するほんとうの危険が数多く読み取れる。

★日本と韓国は、すべてのRCEP参加国にUPOV1991条約批准を求めている

UPOV 1991条約(1991年植物新品種保護国際条約)は、各国がどのように植物種の保護を実行しなければならないかについての一連の共通基準を定めている。それは農民の経済的負担と引き換えに種子企業に有利に働くことになっている。UPOV 1991条約の下で種子企業は、ある種子を「彼らの」ものとして、生産と繁殖、販売、輸出入を支配する占有権を手にすることができる。もしこれらの流れの中に参入し種子を使用したい場合は、誰であれ種子企業に許可を得てロイヤリティ(特許使用料)を支払わなければならない。UPOV 1991条約の下では、使用料を支払い政府が認可しない限りは、私有化された種子の保存や交換をすることはできない。企業の力を促進させるこの占有権は、特定の状況下では作物の収穫の段階にまでも拡大する。

UPOV 1991条約の下で種子企業は、農民が許可なくして企業の持つ種子を保存したり、企業の種子と類似している種子を交換した場合、企業の権利が侵害されたと主張することができる。したがって日本と韓国によるこの提案から、農民の種子に関する行為がターゲットとなり、奪われ、破壊されるという危険が予測される。

★日本は種子の保存を違法とすることを求めている

 日本のRCEP交渉の提案は、植物種の権利が故意に侵害された際、それを刑法のもとで裁こうとするものである。これは、種子の輸出入が監視されることを意味する。また種子企業からの許可がなかったり、ライセンス料が未払いであると疑われた種子は、いかなる場合であっても出荷が停止される。もしその種子が企業の占有権を侵害していることが明らかになれば、その種子はただちに廃棄され、企業に罰金を支払うことになる。

種子の扱いに対する処罰がこのように段階的に拡大されてきたことは、アジア地域の農民たちにある結果をもたらす。RCEP域内の国境の多くは「浸透性」が高い。例えば人びとが域内を移動する際に、種子を持ち運ぶことはよくある話だ。いくつかの貿易協定の下で、国境を越えて種子を運んだという疑いをかけられただけで、それが意図的であったかどうかに関わらず、犯罪として処罰される可能性が生じてきた。日本の提案は、そこまでの段階のものではないが、しかしアジアをこうした方向へと導くものである。

★インドは、すべてのRCEP参加国が伝統的な知識を体系化し、特許庁が利用可能とすることを求める

RCEPの知的所有権章の中で、インド政府は、WTOTRIPS協定のレベルでの知的所有権ルールを維持することを求めている。しかしインド政府はまた、遺伝資源へのアクセスと、農民の種子に関連した伝統的な知識のデータベース化を促進することを定めた生物多様性条約(CBD)の規定をRCEPに盛り込むことを求めている。実際、インドはRCEP参加国すべてが、生物多様性条約名古屋議定書を実施することを求めている。インドはまた、利益を共有するという目的で、RCEP参加国すべての特許庁が、あらゆる発明で使われる生物学的素材の起源を明らかにすることを求めている。

種子は、ソフトウェアではない。特許権だけでなく、生命のデジタル化や伝統的な知識についても、まさにその概念が激しく争われている。もし遺伝資源や伝統的な知識のデジタル情報が集められ、利用可能となれば、モンサント社やシンジェンタ社のような企業は簡単にそれらの情報庫を利用し、農民や先住民族コミュニティが所有する知識や遺伝資源を流用することができる。

インド中の農民は、何十年もの間、生物多様性の登録に彼らの種子を文書化することの賛否を活発に議論してきた。それが地元の人びとによる管理のために計画されていても、多くの人はそのようなツールには反対している。なぜなら地元による管理権を失うというリスクが高く、潜在的に破壊的であるという理由からだ。さらに、多くの社会運動体は、伝統的な知識あるいは生物多様性(農民の種子のような)が政府に帰属するという考えには同意していない。CBDの下で、インドは国家主権を主張し、そして種子の国家による所有権を主張している。しかし、多くの人びとは種子や種子に関する知識は、地元コミュニティの下にあるべきだと信じている。

★農民にとって何を意味するのか?

過去50年以上もの間に、農民運動の強い抵抗があったにも関わらず、多くの国で種子に関する政策は農民に対してより厳しく、そして種子企業にとってより自由なものと変化してきた。例えばタイでは、2013年、EUとのFTA交渉の草案テキストがリークされた時、数千人もの人びとがチェンマイでデモを行った。リーク文書の中で、タイはUPOV1991条約批准が求められていた。種子の保存や交換をさらに制限するものとして、農民はUPOV1991を恐れていたからだ。

多くのアジア諸国では、農民が種子を保存し、育成し、交換する自由は、現行法によってすでに阻害されている。インドの農民たちは、農民の種子の交換を制限する「植物品種および農民の権利保護法 2001」に長きにわたり抵抗してきた。中国では、2014年以来、全国的な農民の種子ネットワークが、種子法を農民の懸念をより反映させたものに変えるよう活動している。彼らが提案している改訂内容は、商業的なライセンスがなくても従来の種子を売ったり交換する農民の権利を守る要求を含んでいる。彼らはまた種子を栽培したり種子を選択する際の農民組織の権利への理解も求めている。

気候変動という大きな圧力のもとで、農民が彼らの土地にてより多くの多様性を必要とするとき、RCEPが種子の保存や交換を制限することは、明白である。さらに、もし農民が特許を持つ企業から購入することでしか合法的に種子を得ることができず、次の季節のために種子を保存する権利が制限あるいは禁止されるのであれば、農民は外部からの供給へより依存することになり、生産コスト増加にもつながる。RCEPに反対する人びとは、貿易協定が現在の3倍もの種子の価格を農民に強いると指摘している。

UPOV 1991条約は、さらに2つの方向で農民の種子の私有化を可能にする。まず、企業と育種機関は農民から種子を入手し、それを育成し、安定化あるいは均質化のための選定を行い、そしてその後、彼らがその種子を「発見した」として権利を主張する。第二に、UPOV1991条約は、1種類の種子に与えられる知的所有権は、「類似した」種類の種子にも及ぶことを規定する。ここには、農民が持つ種子も容易に含むことができる。

RCEPによって、農民はさらに厳しい制裁を科せられる可能性がある。インドネシアなどの国では、既存の植物品種保護法は、種子を育てたり交換した農民に対して、すでに重い制裁を科しているが、RCEPを通してさらに処罰するという方向へ進めば、単に種子を保存し、育てるという長年の実践をしているだけの農民たちが有罪となってしまう。

★緊急行動が求められている!

RCEPのような貿易協定では、種子の独占権を企業に与えるべきではなく、農民が種子を保存することを妨げてはならない。また遺伝子組み換え作物を促進すべきではない。しかし、これらが協定推進者たちのやっていることなのだ。これらの規定を交渉内容から取り除くだけでは不十分である。なぜなら、これらの貿易協定は本質的に、企業や政治エリートのビジネス取引を容易にする方向に偏っているからだ。RCEPTPPへの対応、あるいはTPPを相殺するための地政学的なツールでもあるが、地元コミュニティの利益を何ら促進させることはない。私たちは、交渉テキストを見ることすら許されていないのだ!

RCEPは、早ければ20168月にラオスにて署名される可能性がある。私たちは、RCEPがアジアの農民と食料主権にとってどのような意味があるのか、関心を喚起するための活動を早急に進める必要がある。私たちはまた、農民組合や先住民族組織、食の権利に関する活動家に対して、医薬品アクセス問題や電子上の権利についてのキャンペーンを行う人たち、漁民グループや小売業者などの他のセクターからなる勢力に加わってもらうよう支援しなければならない。数十億の人びとの生命と生業を危険にさらそうとしているRCEPのような貿易交渉を止めさせようとするなら、このような共同が必要である。

Going further

- Chee Yoke Heong, “Opposition mounts against regional trade pact threatening human rights”, Third World Resurgence, Nº 298/299, June/July 2015, Third World Network, http://www.twn.my/title2/resurgence/2015/298-299/econ1.htm

- Public Citizen and Third World Network, “International Convention for the Protection of New Varieties of Plants 1991 (UPOV 1991)”, TPP expert analysis, WikiLeaks, 9 October 2015, https://wikileaks.org/tpp-ip3/upov/page-1.html

- GRAIN, “UPOV 91 and other seed laws: a basic primer on how companies intend to control and monopolise seeds”, 21 October 2015, https://www.grain.org/e/5314

- GRAIN, “Trade agreements privatising biodiversity”, February 2016, Available from: https://www.grain.org/article/entries/5070-trade-deals-criminalise-farmers-seeds






2016年8月4日木曜日

国際NGO共同声明「市民社会組織は、RCEPにおける ISDS(投資家対国家紛争メカニズム)にNO!という

 7月末にマレーシア・クアラルンプールにて行われた「RCEPに対するNGO国際会合」に参加した団体が中心となり、下記の国際共同要請文をリリースしました。RCEP参加国から93団体が署名。もちろんPARCも署名しています。

  RCEPには知的財産、ISDSなど様々な問題がありますが、日本ではほとんど理解されていません。TPP同様、PARCでは今後RCEPに対するウォッチとロビイングを強化していきます。ぜひご覧ください。

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市民社会組織は、RCEPにおける 
ISDS(投資家対国家紛争メカニズム)にNO!という 

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 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、16カ国*によって秘密裏に交渉されており、リークされた文書によると、RCEP協定の「投資章」には、外国投資家が国際法廷に政府を提訴することを認める提案が含まれている。

 これらの投資家による訴訟は、莫大な損害賠償のためである。もしこの提案が受け入れられれば、投資家対国家紛争メカニズム(ISDS)によって、外国投資家がRCEP参加国政府を訴えることが可能となる。仮に各国政府が、公共の利益の追求という理由で新たな法律/政策の導入・変更をしたとしても、それが投資家にとって「利益を損ねた」とみなされれば、投資家は政府を訴えることができるのである。

 過去のISDS訴訟の事例では、公衆衛生や環境、税制、金融規制、その他数多くの法律が提訴の対象となってきた。敗訴した政府は、一つのケースで400億ドルもの賠償金を投資家に支払わなければならいこともあった。このような額は、支払い可能な国の政府であっても非常に大きな負担となる。加えてRCEPにはカンボジア、ラオス、ミャンマーという後発開発途上国(LDC)が含まれており、これらの国が外国投資家に多額の賠償金を支払うことは大変な重荷である。

 これまでISDS訴訟は、696件あり107カ国が提訴されてきた。その数は年々増加しており、最も多くのケースが2015年に起こされている。広く投資家の権利を拡大し、規制を課す政府の能力を制限するこれらの訴訟は、多くの先進国および発展途上国の政府が、二国間投資協定(BITs)や二国間自由貿易協定(FTA)の投資章で、ISDSを含む投資家の保護規定に対する姿勢を見直す原因となっている。

 例えば、RCEP国だけで:

• インド及びインドネシアは、二国間投資協定から撤退している
• シンガポールの司法長官とオーストラリアの最高裁判所長官は、ISDSに対する懸念を表明している。そして、
• ニュージーランド最高裁判所長官国内は、国内法廷の決定に基づく人権規定さえもISDSによって提訴されかねないことを指摘している

 RCEP参加国以外でも、ISDSに対して以下のような反対がある:

• 南アフリカとエクアドルのような国々は二国間投資協定から撤退している
• ドイツの経済大臣は、米国とのヨーロッパのFTA交渉においてISDSに反対している
• オランダ、フランス。オーストリア議会は、カナダおよび米国と彼らのFTA交渉において、ISDSに反対している。そして、
• 米国のすべての州議会は、いかなる協定においてもISDSに反対している

 様々な国連の人権機関もまた、ISDSに対する深刻な懸念を表明している。国連特別人権専門家10人は、ISDSの事例は、「多くの国家の規制を課す機能や、公共の目的のもと立法する能力は、危険にさらされている」ことを明らかにしており、政府の委縮効果が見られる、と指摘している。そして専門家たちは、RCEPのようなFTAの交渉において、交渉中の条文テキストが発表されるべきであり、交渉が市民社会を含む利害関係者の参加を伴う透明性に基づいてなされるべきであることを提言している。

 RCEP閣僚会合は2016年8月5日からラオスで開催される。ここでは交渉で難航している分野を解決することが目標とされている。

 RCEPに参加する各国内・地域レベルの95の市民社会組織(下記リスト参照)は、RCEP交渉参加国に対して、同協定からISDSを取り除くことを強く求める。

*RCEP参加国:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、ニュージーランド 

【署名団体・国(地域)】

1. GRAIN Global
2. Third World Network Global
3. Transnational Institute (TNI) Global
4. World Federation of Public Health Associations Global
5. LDC Watch
6. Asia Pacific Forum on Women, Law & Development (APWLD) Global Asia & Pacific
7. Public Services International Asia & Pacific Asia & Pacific
8. Southeast Asia Tobacco Control Alliance Asia & Pacific
9. The Building and Wood Workers' International Asia-Pacific Asia & Pacific
10. Focus on the Global South Philippines, Thailand, India, Cambodia, Laos
11. Australian Fair Trade and Investment Network Australia
12. Australian Services Union Australia
13. The Grail Global Justice Network Australia
14. People's Health Movement Australia
15. Public Health Association of Australia
16. New South Wales Nurses & Midwives' Association Australia
17. Cambodian Grassroots Cross-sector Network Cambodia
18. SILAKA Cambodia
19. Social Action for Change Cambodia
20. The Messenger Band Cambodia
21. Women's Network for Unity Cambodia
22. Worker's Information Center Cambodia
23. All India Drug Action Network India
24. Alliance for Sustainable and Holistic Agriculture (ASHA) India
25. Delhi Network of Positive People India
26. Food Sovereignty Alliance India
27. Forum Against FTAs India
28. India FDI Watch India
29. Indian Social Action Forum - INSAF India
30. Initiative for Health & Equity in Society India
31. International Treatment Preparedness Coalition (ITPC) -South Asia India
32. Sunray Harvesters India
33. Thanal India
34. The Centre for Internet and Society India
35. Toxics Watch Alliance (TWA) India
36. Ahimsa Society Indonesia
37. Aliansi Masyarakat Sipil Untuk Perempuan Politik (ANSIPOL) Indonesia
38. Aliansi Nasional Bhineka Tunggal Ika (ANBTI) Indonesia
39. Aliansi Petani Indonesia Indonesia
40. Bina Desa Indonesia
41. Creata Indonesia
42. Forhati Jatim Indonesia
43. Himpunan Wanita Disabilitas Indonesia (HWDI) Indonesia
44. IHCS (Indonesian Human Rights Committee for Social Justice) Indonesia
45. Indonesia AIDS Coalition Indonesia
46. Indonesia for Global Justice (IGJ) Indonesia
47. Jaringan Advokasi Tambang (JATAM) Indonesia
48. Koalisi Rakyat Untuk Hak Atas Air (KRuHA) Indonesia
49. Konsorsium Pembaruan Agraria (KPA) Indonesia
50. Maju Perempuan Indonesia (MPI) Indonesia
51. Pengembangan Inisiatif dan Advokasi Rakyat (PIAR) NTT Indonesia
52. Pengurus Wilayah Lembaga Kajian dan Pengembangan Sumberdaya Manusia Nahdlatul Ulama (PW LAKPESDAM NU DKI) Indonesia
53. Sawit Watch Indonesia
54. Serikat Petani Indonesia (SPI) (LVC Indonesia) Indonesia
55. Solidaritas Perempuan (Women's Solidarity for Human Rights) Indonesia
56. Southeast Asia Freedom of Expression Network Indonesia
57. Yogya Interfaith Forum Indonesia
58. Japan Family Farmers Movement Japan
59. Pacific Asia Resource Center (PARC) Japan
60. Jaringan Rakyat Tertindas (JERIT) Malaysia
61. Malaysian Council for Tobacco Control (MCTC) Malaysia
62. Malaysian Women's Action for Tobacco Control & Health (MyWATCH) Malaysia
63. Penang Research Center in Socio Economy (PReCISE) Malaysia
64. Persatuan Kesedaran Komuniti Selangor (Empower Malaysia) Malaysia
65. Positive Malaysian Treatment Access & Advocacy Group (MTAAG+) Malaysia
66. Primary Care Doctors Organisation Malaysia (PCDOM) Malaysia
67. NGO Gender Group Myanmar
68. Glocal Solutions Ltd New Zealand
69. Doctors for Healthy Trade New Zealand
70. It's Our Future Aotearoa New Zealand New Zealand
71. MANA Movement of the People New Zealand
72. New Zealand Council of Trade Unions New Zealand
73. New Zealand Public Service Association New Zealand
74. New Zealand Tertiary Education Union New Zealand
75. Ngai Tai Iwi Authority New Zealand
76. Public Health Association
77. New Zealand Public Service Association New Zealand
78. Alyansa Tigil MIna (Alliance Against Mining) Philippines
79. GABRIELA Alliance of Filipino Women Philippines
80. IBON Foundation Philippines
81. Initiatives for Dialogue and Empowerment through Alternative Legal Services (IDEALS) Philippines
82. Women's Legal and Human Rights Bureau (WLB), Inc. Philippines
83. Association of Physicians for Humanism Republic of Korea
84. IPLeft Republic of Korea
85. Knowledge Commune Republic of Korea
86. Korean Federation of Medical Groups for Health Rights, KFHR Republic of Korea
87. Korean Pharmacists for Democratic Society, KPDS Republic of Korea
88. Trade & Democracy Institute Republic of Korea
89. Trade Commission of MINBYUN-Lawyers for a Democratic Society Republic of Korea
90. Assembly of the Poor Thailand
91. Foundation for Women Thailand
92. FTA Watch Thailand
93. Indigenous Women's Network of Thailand Thailand
94. Thai Poor Act Thailand
95. Vietnam Network of People living with HIV Vietnam

Individual Signatories Country
1. Andi Yuliani Paris Indonesia
2. Athea Sarastiani Indonesia
3. Chairunnisa Yusuf Indonesia
4. Hendrik Siregar Indonesia
5. Ida Fauziyah Indonesia
6. Indah Suksmaningsih Indonesia
7. Irma Suryani Chaniago Indonesia
8. Irmawaty Habie Indonesia
9. Lena Maryana Mukti Indonesia
10. Luluk Hamidah Indonesia
11. Maeda Yoppy Indonesia
12. Maria Goreti Indonesia
13. Maulani A Rotinsulu Indonesia
14. Melani Leimena Suharli Indonesia
15. Nia Sjarifudin Nidalia Djohansyah Indonesia
16. Nihayatul Wafiroh Indonesia
17. Ratu Dian Hatifah Indonesia
18. Sarah Lery Mboeik Indonesia
19. Sulistyowati Irianto Indonesia
20. Sumarjati Arjoso Indonesia
21. Tumbu Saraswati Indonesia
22. Biswajit Dhar India
23. Gajanan Wakankar India
24. Vu Ngoc Binh Vietnam

2015年7月30日木曜日

本日発表されたウィキリークスによる「国有企業」に関するリーク文書の日本語訳

緊急発表!

本日発表されたウィキリークスによる「国有企業」に関するリーク文書の日本語訳です。
原文はこちら→ https://wikileaks.org/tpp-soe-minister/



2013 年12 月7~13 日

国有企業問題に関する閣僚への指針


TPP交渉参加国の大半は、商業的活動や、以下の項を含むWTOやFTAにおいて定められた現在の義務を超える独占に対する規制を支持してきている。
それは、

・国有企業及び独占企業の、商業的配慮を基にした活動をすることと、売買における非差
別的な対応に合致することを確かなものにすること、
・委託された政府の権威により活動する際には協定に定められた義務に従うことを確かな
ものとすること、
・国有企業に政府から委任された行為を含む場合にはその権限の範囲を法廷にて供すること、
・商業行為を行う国有企業と競争相手である民間企業との間の不公正な規則、
・内外に対する説明責任、

そして、

・国有企業の章の実行を監視あるいは実施するに当たっての委員会設置である、
技術的諸問題が残されているがそれは交渉の場において解決されるものと信じている。国
有企業に関する知財の効果的執行が知的財産権の章に移ってしまっている。
幅広い分野で閣僚による指針あるいは判断が求められている。

・貿易相手国に対して逆効果をもたらす国有企業に対する政府支援にどう対処するのか、
(物品やサ-ビス、貿易や投資などのような)幅広く適用される規律を政府が支援する場
合に必要とされる例外措置あるいは他の期待での柔軟な対処とはどうあるべきか、

・国有企業の定義、政府の各レベルに適用される国有企業の規律、そして紛争解決の仕組み

1.政府の支持
すべての交渉参加国は、既に物品貿易に影響を与える補助金に関するWTOにおける義務
を有している。TPP交渉参加国は、国有企業に対する政府支援について(WTOと)よく
似た規則を、より幅広い状況下に広げようと検討している。例えば1)物品貿易に影響を与
える政府支援、2)物品貿易・サ-ビス貿易双方において交渉参加国の領土内において国有
企業と他の交渉参加国からの投資との間の競争に影響する政府支援である。しかし提案され
た内容は、TPP交渉参加国の利害に対して反対の影響をもたらすくらいまでに政府による
国有企業への支援を制限するものでしかない、

2.例外措置と他の柔軟性
もし政府による国有企業支援に広範な規律が含まれているなら、交渉参加国は各国に対し
て、規律を台無しにすることなく各国政府に適切な政策余地を与えるために、どのような例
外措置や柔軟性が必要なのか決定する必要がある。例えばWTOでは物品貿易においては、
補助金規律の一般免責条項は無い。TPPではどのようにサ-ビス貿易に影響を与える政府
補助に対処すべきだろうか?当該国内において国有企業と隠された投資との競争に影響を
与える規律に対してどのように柔軟性で対処できるだろうか?交渉参加国は、一般免責、範
囲の除外、交渉参加国の特定国に対する柔軟性を提案してきた。

3.国有企業の定義と、行政組織全ての段階の政府への適用
隠された国有企業の定義に当たってどのような基準を設けるべきだろうか?規律の目的
は?政府所有とは?支配力の行使は?効果的な支配とは何か決定するにはどんな基準を使
うべきか?等々中央政府、地方政府など異なるレベルの政府において設立され委託された国
有企業や独占的企業にどのように規律を適用するのか?各国は中央政府ではない範囲ある
いは組み込まれたものとして関与するのか?

4.紛争解決システムの適用
推進派は、意味のある、強制可能な、他の章で使われている国家間の紛争解決の仕組みの
重要性を強調している。参加国は、追加的対話や検証が、正式な紛争解決の手順に先駆けて
必要ではないかとかあるいは紛争解決のためには他の要素も含まれるべきだはないかとの
検討をしている。
今回リークされた文書から生じる主要な疑問点

<今回リークされた文書の内容を受けて、ニュージーランドのオークランド大学法学部教授
であるジェーン・ケルシーさんは、以下の疑問点を指摘しています>

・国有企業の公共サービス機能及び公共財機能についてどのような保護が与えられるのか、
国有企業はどのように定義されるのか、また国有企業にすべてのルールが適用されるのか。
・締約国政府は国有企業のいずれがルールに服するかを定めることができるか、また他のす
べての締約国の同意が必要か。
・すべての締約国が等しく取り扱われるのか、あるいはこれらのルールは国有企業を多く抱
える国々により大きな影響を与えるものであるか。
・このルールは、経済、雇用及び地域産業が国有企業に依存する国々、特にベトナムのよう
な発展途上国にとってどのような意味を持つのか。
・ルールは中央政府レベルにある国有企業にのみ適用されるのか、またそうであれば、それ
は中央集権化された政府を持つ国々に対して、連邦制の国の下位の政府に対するものと反対
に、過度の規制を押し付けることにならないか。
・もし国有企業が商業的な側面と社会的又は公共財の機能との複合的性格を有する場合、あ
るいは市場モデルが失敗して政府がその機能を回復し、またその機能を提供するために国有
企業に対して支援を行う場合、なにが起こるのか。
・もし国有企業が、郵便サービスやテレコムサービスのようなユニバーサルサービスの提供
の対価として特別な支払いを受けている場合、ユニバーサルサービスを提供する義務はどの
ように保護されるのか。
・国有企業がユニバーサルサービスと共に民間企業と競合する活動を行っている場合、ユニ
バーサルサービス提供義務に対する支払いは反競争的な支援に該当するか。
・当初資本の提供又はその他の支援が必要な場合に、社会的又は市場の失敗に対応するため
に新たな国有企業を設立することは可能か。
・TPPA の国有企業の章は、国有企業の社会的そして支援を受けた側面を剥ぎ取ることによ
る民営化への裏口ではないのか。したがって、民間によって容易に運営できない理由はない
のではないか。
・TPPA 締結国からの投資が国有企業と同等の待遇を受けるべきであれば、外国籍投資家は、
外国人投資家が差別とみなすものを訴え、または外国籍投資家の期待が実現しなかったこと
を理由に不公正な取り扱いを受けたと訴えるために、ISDS を使用することができるか。
・資源やインフラの独占はどのように影響を受けるか。
・独占に適用されるルールは、将来の独占だけでなく、すでに存在する独占にも影響を与え
るか。
・提案された監視・評価手続の下では、政府や個別の国有企業による権限乱用や嫌がらせに
対してどのような保護が存在するか。
・政府は、監視・評価手続の一環としての情報提供を求め続けることによって、他国の国有
企業のリソースを停滞させる可能性がないか。また民間の競合企業がそのような情報提供義
務を負っていないため、それらの国有企業を競争上不利な立場に置く可能性がないか。
・もしこれが完全に新しいルールのセットである場合、すべての政府がこれらのルールがど
のように機能するか本当に理解しているか。また締約国政府は、紛争解決機関がどのように
紛争を裁くかについて、確信があるのか。
・透明性及び規制のコヒーランス(収斂)を含む、他の章において規定された「透明性」条
項は、国有企業にも適用されるため、他の国からの競合企業が、それらの条項を情報、説明
及び国有企業に関連する規制当局の決定に対する評価を要求し続けるために利用する可能
性はないか。


<山田正彦・元農林水産大臣のコメント>

始めに、ウイキリークスのリークは米国では「非公開の公式文書」として認められていて、
日本でもTPP差し止め訴訟の証拠として提出できるものである。
1、ここでの国有企業とは国(公共)の支配下にある法人の行う事業をさすもので、日本の
場合は国民健保、共済健保、建国保険組合、国立、市立、離島などにある県立病院、及び畜
産振興事業団エーリックなどの野菜、砂糖、畜産物の価格安定資金の事業もすべて含まれる
もので、TPPでは例外があるとすれば、すべて明記して、他の11か国の同意を得ておか
なければ、ネガテブリスト方式なので全てが該当する。
2、国民皆保険制度は政府はそのまま堅持すると言ってきたが、今回明らかになったように、
外国の保険会社との関係では、明らかに国有企業として、政府の関与が差別的で不公平な競
争であり、「相手国企業の不利益」をもたらす「反競争的な行為」であるとの攻撃を受ける
ものと思われる。その結果、国民が安心して利用可能な安価で公平な医療制度が壊されるこ
とになってしまうものと思われる。
例えば薬価は日本の場合、薬価審議会の決定を経て厚生労働大臣が決めて2年に1回引き下
げることになっていたが、これからは、政府は米国の製薬会社と協議して決めなければなら
なくなる。
3、また中小企業などの政策金融公庫、住宅金融公庫などの公的な金融機関、労働組合、生
協、農協などの共済保険にも適用されて、政府による税制上の優遇措置などもすべて該当す
る。例えば、郵貯の簡保に、政府が癌保険を認めれば、郵貯銀行は国有企業なのでアフラッ
クと自由で公平な競争にならないとして、日本郵便でアフラックの癌保険を売り出したよう
に。
4、新聞でも一部報道されたが、国だけに限らず地方自治体の公共事業も国有事業に準じて、
例外、工事の限度額がTPP協定で明記されない限り、日本の中小の企業と米国のペクトル、
ゼネコンなどと英語と自国語との競争入札になる。
5、今回のリークされた内容からすれば、これらの「差別的」「公平な競争」「相手国企業に
不利益を与えない」「反競争的」は条項に反したらISD条項によって解決されることにな
っている。
政府は莫大な損害賠償を求められることになる。
しかも、これらの規制そのものが、非常に曖昧で広範なものになっているが、ISDでは外
国資本の投資から賠償を求められたら、日本政府がそうではないことを立証しなければなら
なくなる。
極めて困難である。
6、それに大事なことは、漁業補助金の禁止は報道されたが、農業、医療、国立大学などに
出される補助金も日本政府は自由に決めることはできなくなる。今回明らかになったのはT
PPでは、政府が補助金を出すにしても一定の基準定めることが求められている。
平たく言えば米国の同意がなければできなくなるのではないかと思われる。
7、さらに相手国、米国などの企業に「不利益を与えるような行為」、は禁止されることに
なる。
例えば自治体が行っている「地産池消」の学校給食も、現在韓国で問題になっているが、カ
ーギルなど米国の企業にとっては「不利益を与える行為」にあたるものと思われる。
8、さらに、大切なことは、今回のリークされた内容では、日本政府による外資企業に対し
ての「反競争的な行為」は禁止されている。
例えば食の安全で、私自身も訪米の際「遺伝子組み換え食品の表示を法律で義務つけしてい
るのは止めてほしいと言われたが、まさにこれらの法律は「反競争的な行為」に該当するも
のと思われる。
9、今回、リークされた国有企業の章は2013年12月7日から10までに出されたもの
であることを注目してほしい。
今回次々に新聞で報道された牛肉、豚肉の関税もかつて読売新聞がリークしたが、その通􀀀
になっているにかかわらず平気で誤報であると言い張った。
この間2年近く交渉を重ねての今日なので、リークでの疑問部分はすべて解決済みであると
考えられる。
それの情報開示を先ず、私達は求めなければならない。

2015年7月29日水曜日

オバマ政権は2015年中に「TPP法案採決」と喧伝するが、 ファストトラック(TPA)の日程と一致せず


米国・パブリックシチズンによるリリース

TPP条約採決可能日程】

オバマ政権は2015年中に「TPP法案採決」と喧伝するが、
ファストトラック(TPA)の日程と一致せず

TPP推進派は2015年末に環太平洋連携協定(TPP)を議会で採決したがっている。しかしそうするためには、ファストトラック(TPA)の規定が要件としている通知期間や採決前の報告の期限があるため、少なくとも7月中にTPP交渉を完了(大筋合意などでなく)させなければならないし、TPPの協定文そのものも完成していなくてはならない。もしTPPへの調印の意志の議会への通知が81日までに送付されるならば、最終的なTPPの採決は12月に開かれる会期の最後の週に行いうるだろう。

ファストトラック(TPA)のもとで考えられる最速の日程を想定し、要件とされるTPPの影響(インパクト)についての米国際貿易委員会(ITC)の報告が、もし過去の協定の場合よりも早く完了できれば、TPPの採決は、協定調印の意志を議会が受け取ってから約4か月半後におこなうことができる。
このように、まず交渉は72831日のハワイでのTPP閣僚会議でしめくくらなければならず、協定文は81日までに調印の意志を通知できるように用意されていなければならない。そして協定文そのもののテキストは830日に公示されなければならない。そうなれば1214日の週に採決ができる。そのあとになると、議会は休会に入り採決は2016年にずれ込むことになる。

評判の悪いTPP可決の政治的代償は、大統領選挙がおこなわれる2016年にずれ込めば増大する。すでに民主党、共和党の候補者はTPP批判を開始しており、かれらの公然とした批判は協定がもつ雇用喪失などなどといった潜在的な脅威に一般の人々の目を向けさせている。2016年の採決となると、201611月に行われる議会選挙でTPPに賛成票を投じた議員を有権者が罰することもありうるというリスクを増大させることにもなる。
 
最小限の予定表:交渉終了から議会での採決まで4か月半

この仮説的な予定表は、過去の貿易協定で起きたよりも、重要な問題でより速い方向転換があることと、ファストトラック(TPA)の予定表の若干の変更があること、議会のメルトダウン、反対あるいは議員間の儀礼的支持がないことを想定している。これはファストトラック規定のもとでのTPP採決への最速の予定表である。(引用は2015年ファストトラック法案の条項。)

l  もしTPP「最終合意」が731日のハワイでのTPP閣僚会議で発表されれば. . . .
最終的な「合意」が声明されるとしても、現実にどうやって最終テキストができるのか?知的所有権や投資など中心的ないくつかの章は依然として、政策上の規則をうちだした条文に憲法違反の対立が残っている。
中心的な市場アクセス問題(関税と関税率の割り当て)および原産地規則の問題が未解決のままである。適用除外とコミットメントについてのスケジュールについては、「投資」、「国有企業」、「サービス産業」、「調達」などに関してまだすべてが完了しているわけではない。
このように、いまだに最終テキストが仮調印できるようになっていないのである。多くの問題がこう着状態で残存し、このように最終条文が存在していないので、条文への調印の意志が米議会に通告されようがない。それでも、さしあたり、何らかの条文があって、通告がおこなわれうるということを想定してみよう. . . .

l  もし条文が出来上がっていて、調印の意志を議会に81日までに通告するとすれば. . . 条文が何らかの形で具体化されていることを想定すると(未解決の問題についてTPP各国大使からのコメントがそのような早急の決着に疑問を投げかけているにもかかわらず)、条文は81日までに仮調印されなければならず、1030日にオバマ大統領が署名する意思を90日前までに議会に通告しなければならない。


調印前通告の最小限期間90 ファストトラック(TPA)では大統領は協定調印の少なくとも90日前に議会に通告するよう求めている(Sec. 106(a)(1)(A))。また、TPP調印のすくなくとも90日暦日前までに、オバマ大統領は米国際貿易委員会(ITC)に「その当時のままの」協定の詳細を明らかにし、ITCにたいして協定がおよぼしうる経済的影響の評価を準備するよう要請しなければならない(Sec. 105(c)(1))。オバマ政権はこれまでITCに対して、最終的な詳細を明らかにすることはできていないが、同評価をおこなうようすでに要請した。ITCは、最終的なTPP合意が無い中(条件が分からない)で評価をおこなうようにとの政権の要請にこたえるかどうかの回答を拒否しているが、Inside U.S. Tradeは「情報筋」は結局受けることになるだろうと報じている。

l  もし、831日に協定テキストが公表されれば. . . .
ファストトラック(TPA)の規定では、調印の意志を表明した90日以内の議会通告の30日後にテキストを公開することを義務付けている。これは、通商代表(USTR)が「最終テキストはある」と主張しても実際にテキストがないという「不正」を可能にする期間がわずか30日しかないということである。
このような誤魔化しをするためには、議会のテキストへのアクセスを、調印の意志を示す通告期間である30日間禁止することを必要とする。つまり、最終テキストは、調印する意思の通告が行われる以前に最終的なテキストができている必要がある。

テキストが公開されなければならない時までの最小限の期間――協定完成と調印の意志通告から30日後までSec. 106(a)(1)(B))。また、大統領がTPP調印の意志を議会に通告してから30日以内に、政府の貿易諮問委員会(複数)は、未解決の協定についての見解を大統領、議会、通商代表に報告しなければならない(Sec. 105(b)(4))。

l  もしTPP条文が1030日に調印されるばあい. . . . その場合には最終テキストの法的仕上げが90日以内で行われることが必要である。それはどの言語のテキストを公式テキストとするかについての不一致が英語とスペイン語だけを公式とすることで解決されることになれば可能である。法律の専門家は、交渉終結の後に必要な法的仕上げの時間を短縮するために、交渉中に、できあがった英語のTPP各章の法的仕上げ作業をおこなってきた。米国の貿易協定の法的仕上げはふつう数カ月かかる。法的仕上げ作業が行われてきているが、法的拘束力をもつテキストに追加の文言があるかもしれないということからして、交渉が決着してからどれだけの時間を要するかは明らかでない。しかし、もし最終的なしあげられたテキストが1030日に調印されたならば、法律の施行の提出に向けた30日間のカウントダウンが始まりうる。

TPP実施法が提出されるまでの期間:30。ファストトラック(TPA)は、大統領が最終的に調印されたテキストを米議会に送付してから少なくとも30日間待って、協定実施法案を提出することを義務付けている。TPP調印後のいずれかの時に、大統領は議会に「最終的な法的テキストの写し」および協定を実施に移すために提案された行政府の措置の声明案を提出できる(Sec. 106(a)(1)(D)。大統領は、TPPの最終的な法的テキストの写しを議会に提出してから30日後に、協定実施法案、実施法案がどのように米国の法律を変えて協定の条件にしたがうようにするのかについての説明、協定を実施するために提案される行政府の措置についての最終的な声明、環境および雇用にたいする影響の見通しについての報告、協定実施・執行計画、その他の関係情報を提出できる。

l  もしTPP実施法が1130日に提出されるならば. . . . そのためにはITC(国際貿易委員会)にたいしてTPPの予想される米国の経済的影響についての、規定によって義務付けられた報告を記録的な速さで完了することを求める。規定で義務付けられているわけではないが、議会は常に貿易協定を検討する前にITCの報告を待つようにしてきた。加えて、上院は1130日に開会していなければならない。下院は開会を予定しているが-実行立法は両院とも開会しているときにのみ提案できる。

l  もし議会がほとんど議論もなかった以前の米国の貿易協定について採決にかかった時間の半分で行動するならば. . . .

そうすると、最終的なTPP採決は議会の休日休会前の最後の週におこなわれうる。すなわち1214日に始まる週である。自由貿易協定の実施法案の提出とそうした法案の採決の間の期間の中央値は2週間ということになる。7日(モロッコとの自由貿易協定の場合)から85日(オマーンとの自由貿易協定の場合)までの幅がある。もし過去のFTA(自由貿易協定)すべてを考えると中間値は16日間となる。バーレーンとの自由貿易協定(FTA)の実施法案が、法案上程(これも11月)から、ファストトラックのもとで議会両院で可決されるまで27日要した。これは「反対」票の数の点で少しも議論にならない自由貿易協定の場合である。
TPPの採決をより少ない時間でおこなうことは技術的には可能であるが、TPPの場合は、協定自体がきわめて大きな議論になっていることからしてもっと多くの時間を要する可能性が大きい。これには、実施法案の最終審議を行わない委員会での最小限審議も行われるだろう。

TPPの議会審議にかける最大限の時間. . .
TPP実施法案の上程から45議会日以内:米下院歳入委員会は、法案を報告しなければならない。さもなければ自動的に取り下げられる(19 USC 2191(e)(1))TPP実施法案が下院歳入委員会を離れる15議会日以内:下院本会議は法案を採決しなければならない(19 USC 2191(e)(1))。下院採決から15議会日以内:上院財政委員会は法案を報告しなければならない、さもなければ自動的に取り下げられる(19 USC 2191(e)(2))。法案が上院財政委員会をはなれて15日以内に上院本会議は法案を採決しなければならない。実施法案が議会両院を通過したあといつでも:大統領は実施法案に署名することができる。
少なくともTPPが発効する30日前:大統領は他の協定参加国すべてが、協定の条件に適合するよう国内法を変えたことを議会に通告しなければならない(「協定の諸条項にしたがうために必要な措置がとられ」)大統領が満足のいくようにする(Sec. 106(a)(1)(G))。

*義務付けられているITC報告についてのメモ: 大統領がTPPに署名してから105日内にITCは大統領と議会にたいして、協定により予想される経済的影響についての報告を提出しいなければならない (Sec. 105(c)(2))。最近米国が締結したすべての自由貿易協定はITCがその報告を完了したあとのみ、議会で採決されてきた。
20152月、マイケル・フロマン米通商代表はITCにたいし、まだテキストは交渉中でるがまず評価を開始し、評価を2015年夏までに終えるように求めた。アービング・ウィリアムズ(Irving Williams)前ITC委員長は、TPP評価にはすくなくとも5か月かかると考えた。ITCがいつ評価を完了するかは不透明である。

★原文: TPP Vote Calendar Obama Administration Hype About a TPP Vote in 2015 Does Not Comport with Fast Track Timelines

http://www.citizen.org/documents/TPP-vote-calendar.pdf




2015年7月27日月曜日

マウイ閣僚会合での国際市民団体、NGO、専門家の活動 その1

マウイのTPP閣僚会合にて、NGOや専門家が協力して以下のような取り組みを行います。
私自身は、コーディネートやプレスワークを中心に行います。記者の方でご関心ある方は直接会場にお越しになるか、kokusai@parc-jp.org までご連絡ください。



市民団体の専門家らによる記者会見について
7月28日、29日、30日 10:30〜

記者会見は、Westin から徒歩2分のHula Grill で10:30AMから行われます (2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI)Hula GrillWestinのすぐ隣です。プール横の歩道を右に曲がって、北方面(海を左手に)に歩いてください。Whalers Villageに入って、右手の2件目のレストランがHula Grillです。

マウイTPP閣僚会合で何が危機に瀕しているか

2015年7月28日(火)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
TPPの未解決の問題や、TPPを締結するために閣僚らが行うかもしれない政治的取引が、全TPP参加国の国民、公衆衛生や環境に及ぼす影響について、市民団体の専門家らが説明します。

会見者
  • 山田正彦       TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団共同代表、元農林水産大臣 (日本)
  • デボラ・グリーソン   ラトローブ大学教授、公衆衛生協会
    (オーストラリア)
  • マーティー・タウンセンド    シエラクラブ自然保護団体、ハワイ会長 (アメリカ)
  • ピーター・メイバードッグ    パブリックシチズン医薬アクセス部ディレクター(アメリカ)
TPP交渉の憲法との衝突:東京地裁での訴え提起

2015年7月29日(水)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
交渉の差し止めを求める裁判を東京地方裁判所に起こした原告団の弁護士二人が、TPP参加国の国民にとってのこの訴訟の意味を説明し、訴状の法的議論を概説します。

会見者
  • 山田正彦 TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団共同代表、元農林水産大臣
  • 三雲崇正 TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団メンバー、新宿区議会議員
市民団体、学者、医療提供者らが説明する、TPPが公衆衛生に及ぼす影響

2015年7月30日(木)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
TPPに参加している12カ国の閣僚や政府代表者がマウイで会合を行う中、TPPが公衆衛生に及ぼす悪影響について市民団体、学者、医療提供者らが説明します。

会見者
  • ジューディット・ルイス・サンフアン 国境なき医師団(MSF)キャンペーンマネージャー兼法政策アドバイザー(アメリカ)
  • デボラ・グリーソン   ラトローブ大学教授、公衆衛生協会
    (オーストラリア)
  • メイバドッグ    パブリックシチズン医アクセス部ディレクタ(アメリカ)