2014年11月24日月曜日

衆院選で問う!―前回2012年衆院選で当選した自民党議員の「TPPに関する政策・公約」リスト




 驚きの解散・総選挙の流れとなった。
 いったい、いつから自民党政権は「このこと」を考え始めていたのか、と想像すると背筋が寒くなる。少なくとも11月上旬、中国でのAPEC前にはかなり具体化していたのだろう。一説によると9月あたりからその案は検討されていたらしい。すでにこの選挙に何の大義もないことは明らかだ。いろいろ言いたいことはあるが、とにかく来るべき選挙に私たちが有権者として何を基準に、誰・どの政党を選ぶのか。それが最大の問題である。そしてこの2年間でTPP参加、消費税増税、アベノミクス、秘密保護法、集団的自衛権などを進めてきた自民党を敗北させることが重要だ。

 私自身は、2年前の衆院選で「TPP断固反対」と全国各地で有権者に訴え当選した議員の責任を問う(下記リスト参照)。その選挙のわずか3か月後の2013315日、安倍首相はTPP参加を表明し、同年7月に交渉参加国となり現在までの流れが続く。いうまでもなく、これは公約破りである。公約に反してまでも参加をするという判断をしたいのなら、解散総選挙をして国民に信を問うのはまさにその時だったのだ。秘密保護法も、集団的自衛権も同様。要するに都合がいいときにだけ「信を問う」と解散総選挙をやる安倍政権は、それだけで不正義という理由で政権失格だ。
 そして個々の議員についても、その言動の不一致を問わなければならない。自民党内には2年前の時点で「TPP参加の即時撤回を求める会」という議連が存在し、衆院選後には250名を超すメンバーがいた。みな地元で「TPPには断固反対」といって当選した議員たちだ。しかしこの会は、交渉参加とともに「TPP交渉における国益を守り抜く」と名前を変え、いわゆる聖域5品目などの関税を守るという目的に変容していった。議員からすれば、政府・安倍首相の判断で交渉に参加してしまった以上、「断固反対」とは言っていられない、しかし有権者には断固反対と言ってきた手前がある。だからTPP参加を規制事実にした上で、特に農山村の有権者が実質的に望んでいる関税を守れば済むのだ、と判断したのではないか。
 しかしこれは、自民党議員による「勝手な言い訳」に過ぎない。しかも2年前の自民党の公約集には、TPPに関して6項目が挙げられていて、農産物の関税だけでなく医療や自動車、食の安全などが守られなければ参加しないこと、また主権を脅かすISD条項には反対、と書かれてある。しかし安倍首相は選挙後に、それらのうち「聖域なき関税撤廃」の項目以外は「正確には公約ではない」との意味不明でつじつまの合わない見解を示し、有権者を裏切った。

  そして現在のTPP交渉において、政府が農産物の関税も含め「公約」で約束した項目についてどのような交渉をしているのかは定かではない。秘密主義の交渉を言い訳に、どれだけの譲歩がおこなれているか、何の説明もなされないのだ。
 
 来るべき衆院選では、2年前に自民党議員が有権者にした「約束」が、問われなければならない。その意味で消費税増税は主要な争点ではなく、この2年間で自民党がしてきたことそのものが問われるべきなのだ。

 下記にあげるのは、2年前の衆院選にて当選した自民党議員が、選挙時にTPP参加に関してどのような「約束」をしたかのリストである。約束を破っている人が山のようにいる。この議員たちの多くは、来月の選挙でも立候補するだろう。何が争点か、誰に投票するのか、ぜひ、みなさんの地元で、さまざまな動きに活用いただきたい。


201212月の衆議院議員選挙にて当選した自民党議員が
   TPP交渉に関して出した「政策」・「公約」★

<注> 公約末尾の「(公報)」は小選挙区の選挙公報。「(新聞)」は「毎日」が総選挙で行った「候補者アンケート」の結果。質問は“輸出入関税を原則ゼロにするTPPへの参加に賛成か反対か”で行われ、いずれでないものは「非該当」。比例代表にある県名数字は小選挙区の重複、「単独」とあるのは比例単独立候補。★は全国農政連の推薦(日本農業新聞発表から)。

●北海道ブロック

1区 船橋利実 反対(新聞)
2区 吉川貴盛 TPP交渉参加反対(公報)
3区 高木宏寿 反対(新聞)
4区 中村裕之 TPPには、絶対反対します(公報)
5区 町村信孝★ 反対(新聞)
6区 今津 寛 日本の国益を損うTPPには断固反対します(公報)
7区 伊東良孝 TPP交渉参加の断固反対!(公報)
8区 前田一男 現行のTPPに反対(公報)
9区 堀井 学★ 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)
11区 中川郁子 反対(新聞)
12区 武部 新 反対(新聞)

【比例代表】

単独 渡辺孝一 反対(新聞)
単独 清水誠一 反対(新聞)
単独 勝沼栄明 反対(新聞)

●東北ブロック

青 森
1区 津島 淳 TPPの聖域なき関税・非関税障壁撤廃に反対します(公報)
2区 江渡聡徳 日本の国益に反する形でのTPP交渉参加には断固反対します(公報)
3区 大島理森 全ての関税をゼロにするならTPP参加に反対します(公報)
4区 木村太郎 TPP反対(公報)

秋 田
1区 冨樫博之★ 「聖域なき関税撤廃」など日本の国益に反する形でのTPP交渉参加は反対します(公報)
2区 金田勝年★ 反対(新聞)
3区 御法川信英 例外なき関税撤廃を前提にしているTPPには、断固反対します(公報)

岩 手
2区 鈴木俊一 日本の農林水産業を守るため、TPP交渉参加に反対します(公報)

宮 城
1区 土井 亨★ 反対(新聞)
2区 秋葉賢也 TPP交渉参加に反対(公報)
3区 西村明宏 TPP反対(公報)
4区 伊藤信太郎 「聖域なき関税撤廃」を前提としたTPP交渉参加に反対(公報)
6区 小野寺五典★ TPP断固反対を貫く(公報)

山 形
1区 遠藤利明 反対(新聞)
2区 鈴木憲和★ ウソをつかない、ブレない。TPP反対!!(公報)

福 島
1区 亀岡偉民★ TPP反対(公報)
2区 根本 匠★ 農産物など聖域なきTPP交渉参加に断固反対!(公報)
4区 菅家一郎★ 非該当(新聞)
5区 坂本剛二★ 賛成(新聞)

【比例代表】

岩手1 高橋比奈子 無回答(新聞)
岩手4 藤原 崇 反対(新聞)
岩手3 橋本英教 聖域なきTPPの交渉参加に反対!(公報)
宮城5 大久保三代 TPP反対(公報)
福島3 菅野佐智子 TPPに反対します(公報)

●北関東ブロック

埼 玉
1区 村井英樹 賛成(新聞)
2区 新藤義孝 非該当(新聞)
3区 黄川田仁志 反対(新聞)
4区 豊田真由子 非該当(新聞)
6区 中根一幸 反対(新聞)
7区 神山佐市 非該当(新聞)
8区 柴山昌彦 TPPの「聖域なき関税撤廃」に反対(公報)
9区 大塚 拓 TPPは参加不参加を一義的に決めるのは得策ではありません(公報)/非該当(新聞)
10区 山口泰明 聖域なき関税の撤廃《TPP》には反対です(公報)
12区 野中 厚 反対(新聞)
13区 土屋品子 「聖域なき関税撤廃」など我が国の国益に反する形での参加は絶対に阻止します(公報)
14区 三ツ林裕巳 反対(新聞)
15区 田中良生 賛成(新聞)

茨 城

1区 田所嘉徳 断固反対します(公報)
2区 額賀福志郎 反対(新聞)
3区 葉梨康弘 TPP交渉は、構造改革に無頓着で、拙速稚拙です(公報)
4区 梶山弘志★ 非該当(新聞)
6区 丹羽雄哉★ 聖域なきTPP参加、絶対反対!(公報)

栃 木

1区 船田 元★ 反対(新聞)
2区 西川公也★ 農業だけでなく、社会そのものを崩壊させる現行のTPP交渉参加は反対(公報)
4区 佐藤 勉★ 「聖域なき関税撤廃」を前提としたTPP交渉参加には、断固として反対します(公報)
5区 茂木敏充★ 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対します(公報)

群 馬

1区 佐田玄一郎★ TPPに断固反対します(公報)
2区 井野俊郎★ 反対(新聞)
3区 笹川博義★ 無回答(新聞)
4区 福田達夫★ 反対(新聞)
5区 小渕優子★ 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)

【比例代表】

埼玉5 牧原秀樹 TPPやFTAなど専門分野でも国益を守る戦略を主導し経済を活性化させます(公報)/無回答(新聞)
茨城5 石川昭政 反対(新聞)
茨城7 永岡桂子★ 例外なき関税撤廃のTPP参加は断固反対(公報)
栃木3 簗 和生★ 我が国の農業に壊滅的打撃を与えるTPPに断固反対します(公報)
埼玉11 今野智博 国情を無視した関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)
単独 新谷正義 反対(新聞)

東京ブロック

1区 山田美樹 賛成(新聞)
2区 辻 清人 賛成(新聞)
3区 石原宏高★ 聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉参加には反対(公報)
4区 平 将明★ 賛成(新聞)
5区 若宮健嗣★ 反対(新聞)
6区 越智隆雄★ 賛成(新聞)
8区 石原伸晃★ 反対(新聞)
9区 菅原一秀★ 非該当(新聞)
10区 小池百合子★ 賛成(新聞)
11区 下村博文★ 賛成(新聞)
13区 鴨下一郎★ 無回答(新聞)
14区 松島みどり 賛成(新聞)
16区 大西英男★ 反対(新聞)
17区 平沢勝栄★ 「聖域なき関税撤廃」を前提とする限り、TPP交渉には反対します(公報)
18区 土屋正忠★ 反対(新聞)
19区 松本洋平★ 非該当(新聞)
20区 木原誠二★ 非該当(新聞)
22区 伊藤達也★ 無回答(新聞)
23区 小倉将信★ 反対(新聞)
24区 萩生田光一★ 反対(新聞)
25区 井上信治★ 反対(新聞)

【比例代表】

東京21 小田原 潔★ 反対(新聞)
東京15 秋元 司 賛成(新聞)
東京7 松本文明★ 反対(新聞)
単独 赤枝恒雄 反対(新聞)
単独 田畑 毅 反対(新聞)

南関東ブロック

神奈川

1区 松本 純 非該当(新聞)
2区 菅 義偉 非該当(新聞)
3区 小此木八郎 賛成(新聞)
5区 坂井 学 無回答(新聞)
7区 鈴木馨祐 TPPの枠組みを活用し中国に主導させない形で知的財産権などの国際ルール作りに関与(公報)
10区 田中和徳 非該当(新聞)
11区 小泉進次郎 無回答(新聞)
12区 星野剛士 反対(新聞)
13区 甘利 明 非該当(新聞)
14区 赤間二郎 賛成(新聞)
15区 河野太郎 賛成(新聞)
16区 義家弘介 非該当(新聞)
17区 牧島かれん TPPには食料安保の観点から慎重な立場(公報)/反対(新聞)
18区 山際大志郎 無回答(新聞)

千 葉

2区 小林鷹之 非該当(新聞)
3区 松野博一 反対(新聞)
5区 薗浦健太郎★ 非該当(新聞)
6区 渡辺博道★ TPPの「聖域なき関税撤廃」反対(公報)
7区 斎藤 健 反対(新聞)
8区 桜田義孝★ 反対(新聞)
9区 秋本真利★ 非該当(新聞)
10区 林 幹雄 例外なき関税撤廃のTPP交渉参加に反対します(公報)
11区 森 英介 無回答(新聞)
12区 浜田靖一 反対(新聞)
13区 白須賀貴樹★ 無回答(新聞)

山 梨

1区 宮川典子 日本を守るため、安易なTPP参加には反対です(公報)

【比例代表】

山梨3 中谷真一 国の自立を損なうTPP「聖域なき関税撤廃」ではなく、EPA、FTAを推進(公報)/反対(新聞)
千葉1 門山宏哲 非該当(新聞)
山梨2 堀内詔子 反対(新聞)
神奈川9 中山展宏 無回答(新聞)
神奈川4 山本朋広 「聖域なき関税撤廃」が前提のTPPへの交渉参加には反対です(公報)
神奈川8 福田峰之 反対(新聞)

北陸信越ブロック

長 野

2区 務台俊介 TPP反対(公報)
4区 後藤茂之★ 反対(新聞)
5区 宮下一郎★ 聖域なき関税撤廃等を条件とするTPPには反対(公報)

新 潟

1区 石崎 徹★ TPPに参加するよりも現時点では経済効果の高い二国間経済連携を強力に(公報)/反対(新聞)
2区 細田健一★ 例外なきゼロ関税化の原則は、我が国にとって受け入れられないものです(公報)
3区 斎藤洋明★ TPP加盟交渉参加には反対します(公報)
4区 金子恵美★ 反対(新聞)
5区 長島忠美★ 例外なき関税撤廃TPPには慎重であること(公報)/反対(新聞)
6区 高鳥修一★ 反対(新聞)

石 川

1区 馳 浩 非該当(新聞)
2区 佐々木 紀 反対(新聞)
3区 北村茂男 「聖域なき関税撤廃」を前提にするTPP交渉の参加には断固反対します(公報)

富 山

1区 田畑裕明★ 反対(新聞)
2区 宮腰光寛★ 反対(新聞)
3区 橘 慶一郎★ 無回答(新聞)

福 井

1区 稲田朋美★ 関税撤廃を前提とするTPP交渉には参加しません(公報)
2区 山本 拓★ 「聖域なき関税撤廃」のTPP交渉参加には反対です(公報)
3区 高木 毅★ 「例外なき関税撤廃のTPP」には反対(公報)

【比例代表】

長野3 木内 均 米・畜産・酪農を崩壊させてしまうTPP交渉参加には反対です(公報)
長野1 小松 裕 反対(新聞)
単独 永山文雄 無回答(新聞)
単独 助田重義 無回答(新聞)

東海ブロック

静 岡

1区 上川陽子★ 社会の安定を揺るがす「TPP」に、反対する(公報)
2区 井林辰憲★ 非該当(新聞)
3区 宮沢博行★ 反対(新聞)
4区 望月義夫★ 非該当(新聞)
7区 城内 実★ 反対(新聞)
8区 塩谷 立★ 反対(新聞)

愛 知

1区 熊田裕通★ 反対(新聞)
3区 池田佳隆★ 反対(新聞)
4区 工藤彰三 賛成(新聞)
5区 神田憲次 賛成(新聞)
6区 丹羽秀樹★ 非該当(新聞)
7区 鈴木淳司★ 反対(新聞)
8区 伊藤忠彦★ 反対(新聞)
9区 長坂康正★ TPPなど多国間協議は国益優先の国家戦略(公報)/反対(新聞)
10区 江崎鉄磨★ 「聖域・例外なき関税撤廃」には、反対します(公報)
12区 青山周平★ 非該当(新聞)
13区 大見 正★ 賛成(新聞)
14区 今枝宗一郎 反対(新聞)
15区 根本幸典★ 非該当(新聞)

岐 阜

1区 野田聖子★ 反対(新聞)
2区 棚橋泰文★ 無回答(新聞)
3区 武藤容治★ 聖域なき関税撤廃を前提としたTPP交渉に反対(公報)
4区 金子一義★ TPPから断固わが国の農業を守り抜く覚悟です(公報)
5区 古屋圭司★ 例外なき非関税化前提のTPP参加に反対(公報)

三 重

1区 川崎二郎 非該当(新聞)
4区 田村憲久 例外なき関税撤廃(TPP)は絶対反対(公報)
5区 三ツ矢憲生 反対(新聞)

【比例代表】

静岡6 勝俣孝明★ 反対(新聞)
愛知11 八木哲也★ 反対(新聞)
愛知2 東郷哲也 反対(新聞)
三重2 島田佳和 「聖域なき関税撤廃」を前提にするTPP交渉参加には反対します(公報)
静岡5 吉川 赳★ 反対(新聞)
三重3 桜井 宏 無回答(新聞)
単独 川田 隆 無回答(新聞)

近畿ブロック

大 阪

2区 左藤 章 反対(新聞)
7区 渡嘉敷奈緒美 賛成(新聞)
12区 北川知克 TPP、FTA、EPA等、外交交渉は、国内の条件整備と交渉力の強化を図り、順次対応を(公報)/賛成(新聞)

兵 庫

1区 盛山正仁 賛成(新聞)
3区 関 芳弘 非該当(新聞)
4区 藤井比早之 非該当(新聞)
5区 谷 公一★ 「聖域なき関税撤廃」のTPP参加反対(公報)
6区 大串正樹 無回答(新聞)
7区 山田賢司 反対(新聞)
9区 西村康稔 非該当(新聞)
10区 渡海紀三朗 非該当(新聞)

京 都

1区 伊吹文明 非該当(新聞)
3区 宮崎謙介 反対(新聞)
4区 田中英之 反対(新聞)
5区 谷垣禎一 非該当(新聞)

滋 賀

1区 大岡敏孝★ 反対(新聞)
2区 上野賢一郎★ 聖域なき関税撤廃前提のTPP参加反対(公報)
3区 武村展英★ 単なる自由貿易とは異なるTPPに反対(公報)
4区 武藤貴也★ TPP参加反対(公報)

奈 良

2区 高市早苗★ 反対(新聞)
3区 奥野信亮★ 反対(新聞)
4区 田野瀬太道★ 反対(新聞)

和歌山

2区 石田真敏★ 無回答(新聞)
3区 二階俊博★ 反対(新聞)

【比例代表】

和歌山1 門 博文 無回答(新聞)
大阪15 竹本直一 非該当(新聞)
大阪4 中山泰秀 無回答(新聞)
大阪8 大塚高司 非該当(新聞)
京都6 安藤 裕 反対(新聞)
奈良1 小林茂樹★ 反対(新聞)
大阪9 原田憲治 非該当(新聞)

中国ブロック

岡 山

1区 逢沢一郎★ 非該当(新聞)
2区 山下貴司★ 戦略なきTPP参加には反対(公報)
4区 橋本 岳★ 非該当(新聞)
5区 加藤勝信★ 非該当(新聞)

広 島

1区 岸田文雄★ 非該当(新聞)
2区 平口 洋★ 賛成(新聞)
3区 河井克行★ TPPの「聖域なき関税撤廃」に反対(公報)
4区 中川俊直 非該当(新聞)
5区 寺田 稔★ 反対(新聞)
7区 小林史明 反対(新聞)

山 口

1区 高村正彦★ 無回答(新聞)
2区 岸 信夫★ 反対(新聞)
3区 河村建夫★ 反対(新聞)
4区 安倍晋三★ 無回答(新聞)

鳥 取

1区 石破 茂★ 非該当(新聞)
2区 赤沢亮正★ 反対(新聞)

島 根

1区 細田博之★ 日本の国益に反する形でのTPP交渉参加に反対します(公報)
2区 竹下 亘★ 反対(新聞)

【比例代表】

広島6 小島敏文 反対(新聞)
岡山3 阿部俊子★ 反対(新聞)
単独 吉野正芳 反対(新聞)
単独 上杉光弘 反対(新聞)
単独 池田道孝 反対(新聞)

四国ブロック

香 川

1区 平井卓也★ 反対(新聞)
3区 大野敬太郎★ 反対(新聞)

愛 媛

1区 塩崎恭久 更なる自由貿易の推進を図るが、TPPの求める聖域なき関税撤廃には反対する(公報)
2区 村上誠一郎★ 反対(新聞)
3区 白石 徹★ TPPは「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉を反対(公報)
4区 山本公一★ 国益を損なうTPP交渉参加には断固反対します(公報)

徳 島

1区 福山 守★ 反対(新聞)
2区 山口俊一★ 「聖域なき関税撤廃」を前提とする限りTPP交渉参加には反対します(公報)
3区 後藤田正純★ 反対(新聞)

高 知

1区 福井 照★ 無回答(新聞)
2区 中谷 元★ 反対(新聞)
3区 山本有二★ 非該当(新聞)

【比例代表】

香川2 瀬戸隆一 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)
単独 泉原保二 賛成(新聞)

九州・沖縄ブロック

福 岡

1区 井上貴博★ 「聖域なき関税撤廃」には反対し、国益を踏まえて守るべき分野は守らなければなりません(公報)
2区 鬼木 誠★ 反対(新聞)
3区 古賀 篤★ TPP交渉参加については、反対の立場をとります(公報)
4区 宮内秀樹★ 反対(新聞)
5区 原田義昭★ 「聖域なきTPP」断固として反対(公報)
6区 鳩山邦夫★ TPP粉砕(公報)
7区 藤丸 敏★ 反対(新聞)
8区 麻生太郎★ 農業や医療など「聖域なき関税撤廃」には反対します(公報)
9区 三原朝彦★ 賛成(新聞)
10区 山本幸三★ 例外なき関税撤廃というTPPには反対(公報)
11区 武田良太★ 「聖域なき関税撤廃」のTPP反対(公報)

佐 賀

1区 岩田和親★ TPPには断固反対(公報)
2区 今村雅弘★ TPP断固阻止!(公報)
3区 保利耕輔★ 関税撤廃を条件とするTPPの交渉参加には反対します(公報)

長 崎

1区 冨岡 勉★ 反対(新聞)
2区 加藤寛治★ 反対(新聞)
3区 谷川弥一★ TPP交渉参加反対(公報)
4区 北村誠吾★ 反対(新聞)

熊 本


1区 木原 稔★ 「聖域なき関税撤廃」を前提としたTPP交渉の参加については、強く反対します(公報)
2区 野田 毅★ 農林水産業を崩壊させるようなTPPには、断固反対します(公報)

3区 坂本哲志★ TPP阻止で、郷土・日本を守る!(公報)
5区 金子恭之★ 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)

大 分

1区 穴見陽一★ 反対(新聞)
2区 衛藤征士郎★ 例外品目のないTPP参加を断固阻止(公報)
3区 岩屋 毅★ 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します(公報)

宮 崎

1区 武井俊輔★ TPP交渉参加に絶対反対します(公報)
2区 江藤 拓★ TPP交渉参加には断固反対いたします!(公報)
3区 古川禎久★ TPPだけは、絶対に、絶対に、許してはなりません(公報)

鹿児島

1区 保岡興治★ TPPなど外交・安全保障を取り戻し(公報)/反対(新聞)
2区 徳田 毅★ TPPに断固反対します(公報)
4区 小里泰弘★ 国益なきTPPに反対(公報)
5区 森山 裕★ 日本の国益に反するTPP交渉参加には断固反対!!(公報)

沖 縄

1区 国場幸之助 反対(新聞)
3区 比嘉奈津美★ TPPには反対します(公報)
4区 西銘恒三郎★ TPP反対 沖縄の農業を守る(公報)

【比例代表】

鹿児島3 宮路和明★ 国を亡ぼすTPPの断固阻止(公報)
沖縄2 宮崎政久★ 聖域なきTPP絶対反対(公報)
単独 西川京子 反対(新聞)
単独 林田 彪★ 反対(新聞)
単独 新開裕司 反対(新聞)
単独 末吉光徳 反対(新聞)
単独 湯川一行 無回答(新聞)




2014年11月14日金曜日

新サービス貿易協定(TiSA)は何を目指しているのか ―いのちの市場化を進めるもう一つの貿易協定



企業は軽々と国境を超える。グローバル大企業、多国籍企業となればなおさらだ。
1980年代以降の世界の貿易は拡大し、WTO(世界貿易機関)のような多国間での貿易ルールづくり、そしてFTA(二国間貿易協定)やTPPのような地域経済連携協定と、時代は変化してきたが、一貫して変わらないのは、グローバル大企業に有利なルールづくりである。このルールは、私たちが生きるために不可欠な営みを、丸ごと市場原理に投げ出そうとする。数十年前から現在まで、そしてこの先当分の間は、この市場化の波は私たちの暮らしや社会全体に押し寄せてくる。まさに「利潤か、いのちか」という攻防の只中に、私たちは生きているのである。

TPP交渉は2013年の日本参加以来、妥結には至っていない。日本国内での農業、医療、消費者団体など幅広い分野の人びとの反対運動、そして交渉国12か国それぞれの利害の対立(とりわけ日米関税協議)がその大きな理由である。TPPは「1%の大企業がグローバル経済を支配するためのツール」である。私自身、実際に交渉の現場に足を運んだり、日々米国内の企業や農産物輸出団体の動きをウォッチする中で、そのことを痛感する。また日本においても、アベノミクスに代表される企業優遇措置政策、農協解体や混合診療解体などを推進する政府、財界、官僚がいる。TPPを早期に妥結したがっているのは米国だけではない。こうした勢力、特に米国政府・財界が、TPPの妥結が困難だからといって、ここまで進んできた交渉を放り出すはずはないのだが、「TPPが妥結しない」という彼らにとって最悪の可能性を考えれば、何らか保障はしておきたい。またTPPが仮に妥結したとしたら、TPPをさらに強化するものとして何らかの手段があればなおありがたい。その「何か」が、今回論じる「新サービス貿易協定(TiSA)」である。

TiSAとは何か―WTOGATSからTiSAへの流れと米国の戦略

TiSAの交渉参加国(出典:http://know-ttip.eu/tisa/)
 新サービス貿易協定(Trade in Service Agreement)とは、20136月に交渉が公式に始まった貿易協定である。参加国は日本、米国、オーストラリア、カナダ、メキシコ、そしてEU、韓国、トルコ、パキスタンなど合わせて22か国と、EU(欧州連合)であり、EU各国を1国とすれば50か国にもなる。TPPより参加国も多く、また日米、EUが参加しているため経済規模も非常に大きい。TPP交渉参加国12カ国のうち8か国はTiSAに参加している(参加していないのはマレーシア、ブルネイ、シンガポール、ベトナム)。
 TiSAはその名の通り、「サービス貿易」の協定である。TiSAの本質やその問題的を理解する上で、まずはこのサービス貿易の基本を押さえておこう。
1990年代半ばまでの世界の貿易は、モノの貿易の割合が圧倒的に多かった。従って国と国との貿易交渉において主要な議題となったのは、モノの関税削減である。自動車しかり、牛肉やオレンジしかり、現在のTPP交渉の中でいえば農産物や自動車の関税の議論がそれである。しかし経済のグローバル化に伴い、形ある「モノ」だけでなく「サービス」が貿易に占める割合が増加していく。こうした流れを受け1995年、WTO発足に伴って、世界で初めてのサービス貿易に関する多国間協定が発効された。「サービス貿易に関する一般協定(GATS)」と呼ばれる協定であり、WTO加盟国が批准している。国際的な貿易の流れ(特に先進国にとって)は、これを起点としてモノからサービスへと本格的に移行していく。「サービス貿易」の対象となるのはどのような取引、行為なのだろうか。GATSが締結される際に、WTOはサービス貿易を4つの形態に分けて定義している。この定義は、基本的にはTiSAにも引き継がれている。

ある国のサービス事業者が、自国に居ながらにして外国にいる顧客にサービスを提供する場合(越境取引=第1モード)
ある国の人が、外国に行った際に現地のサービス事業者からサービスの提供を受ける場合(国外消費=第2モード)
ある国のサービス事業者が、外国に支店・現地法人などの拠点を設置してサービスの提供を行う場合(拠点の設置=第3モード)
ある国のサービス事業者が、社員や専門家を外国に派遣して、外国にいる顧客にサービスを提供する場合(自然人の移動=第4モード)

またサービス貿易がカヴァーする12の分野、領域は以下の通りである。

GATSTiSAにおけるサービス貿易の12分野

1.実務(自由職業や研究、開発、不動産など)
2.通信(郵便、通信、音響映像など)
3.建設及び関連のエンジニアリングサービス
4.流通
5.教育
6.環境(汚水や廃棄物処理など含む)
7.金融(保険、銀行など)
8.健康関連及び社会事業サービス(病院を含む)
9.観光及び旅行に関連するサービス
10.娯楽、文化及びスポーツのサービス(通信社、図書館など含む)
11.運送
12. いずれにも含まれないその他のサービス

 ほとんどのものが、私たちの日常に欠かせないことは一目瞭然だ。バス、電車などの運送サービスや銀行・保険などの金融サービス、電話・ファックスなどの通信サービス、デパートなどの流通サービス等々、また私たちが海外旅行に行って観光やショッピングをすることもサービス貿易であるのだ。
GATSは、WTO交渉に付随して2005年以来、交渉が進められてきた。しかしWTO交渉は先進国と途上国、そして新興国の間で関税やサービス貿易など多くの分野で真っ向から対立、すでに「死に体」となっている。これに伴いGATS交渉の動きも2006年以降、完全に止まってしまった。しかしそれでは、サービス貿易を推進したい米国など先進国の意図は実現できない。そこで登場した新たな貿易交渉の「舞台」がTiSAなのである。
TiSAの公式スタートは20136月だが、実はその前の2012年からGATSの中の「有志国」が、GATS交渉とは違う枠組みを模索してきたという。米国は、一向に進まず破綻寸前のWTO交渉を見限り、二国間貿易協定(FTA)やTPPなどの地域貿易協定にシフトしてきたわけだが、サービス貿易に関しても同様に、「中身が獲得できれば、器は何でもいい」と言わんばかりの態度で貿易協定を乗り換えてきたのだ。
米国の貿易戦略が反映されているといわれる『通商政策アジェンダ』(2014年版)の中には、米国にとって重要な貿易協定として、以下ものがあげられている。
TPP
TTIP(米国EU貿易・投資パートナーシップ協定)
iSA(新サービス貿易協定)
また米国だけでなく、EUTiSAには積極的だといわれている。

TiSAの何が問題なのか

 端的に言えば、「TiSAとは、TPPから関税分野を取り除いたもの」である。つまりTPPで懸念されている非関税分野への影響―医療や保険、雇用、食の安全・安心が脅かされる、などすべてがTiSAで考えられる懸念となる。私は特に、日本の公共サービス(電気、ガス、水道や教育、医療など)への自由化の波がさらに強まるのではないかと懸念している。なぜなら、GATS時代にすでに、公共サービスは「必要性」ではなく、「効率」「採算」を重視するサービス貿易の対象とされ、TiSAではその「自由化度」をさらに高めるとしているからである。

(1)徹底した貿易の自由化
 先述したとおり、TiSAには実に多くの分野が含まれているが、実は先進国においては多くのサービス分野がすでに一定程度以上、自由化されている。しかし、例えば日本のような先進国の中で、自由化されていないサービス部門には、「水道」「教育」「医療」などの公共サービスが挙げられる。フランスや米国など先進国の水道会社や教育サービス事業者、医療業界は、途上国に進出したいと同時に、日本のような先進国の「閉鎖的な」公共サービス部門に参入しようとしているのだ。その意味でTiSAにおける対立構図とは、「先進国対途上国」に加えて、「先進国の大企業対すべての国の人びと」ととらえるべきである。
 しかもTiSAは、GATS時代よりもさらなる「高度な自由化」を求めており、交渉対象から特定の分野を除外しないことを参加国は同意しているという。
 GATS時代からTiSAに引き継がれているサービス貿易の自由化原則に、以下のものがある。わかりにくい単語が並ぶが、要は、TPPの多くの分野で議論されているように、「外国企業がさらに進出しやすくするために、規制をするな、取っ払え」ということである。

最恵国待遇 (MFN Most-favored-Nation Treatment) 義務
加盟国のサービスやサービス提供者に対して、他の加盟国の同種のサービス提供者に与える待遇より、不利でない待遇を与えなければならない。つまり加盟国がお互いに平等・無差別に扱われるという義務。

市場アクセス(MA : Market-Access) 義務
加盟国は、自国市場へのアクセスを約束した範囲において、以下の措置が禁止。
*サービス提供者の数や、取引総額・資産の制限(例:需給調整に基づく免許の付与、国内市場における外資系企業の占めるシェアの制限、テレビでの外国映画の放映時間の制限、交通機関の運行回数の制限など)
*サービスを提供する事業体の形態の制限・要求や外国資本の参加制限(例:支店設置要求、合弁要求、法人設立要求)

内国民待遇 (NT National-Treatment) 義務
約束した範囲において、他の加盟国のサービス提供者に対して、自国の同種のサービス提供者に与える待遇よりも不利でない待遇を与えなければならない。

(2)一度規制緩和したら後戻りができない「ラチェット条項」―政府の権限が弱められる
 TiSAには、「スタンドスティル条項」と「ラチェット条項」といわれるものが含まれている。前者は、現行の自由化の水準を一律に凍結することを義務付けるものであり、後者は、いったん自由化した中身を、後になって規制を加えたり最高有化することを禁じた条項である。例えば、ある国の中に公的健康保険制度による医療保険サービスがあるとしよう。これを一時的あるいは試験的に、民間保険制度を実施したとする。その際に、「我が国の健康保険部門はTiSAの例外とする」とはっきりと盛り込んでおかない限り、将来にわたってこの医療保険サービスを公的保険制度に戻すことは、「TiSA違反」ことになる。
 実は私たちの暮らしにかかわる様々な制度やサービス提供には、決して公的なものだけでなく、企業も参入しているしNPOなどによっても担われているものも多い。いわばそれらが混合されたシステムの中で、サービスが提供されているのが実態だ。それらの比重や選択肢は流動的であり、各国によっても異なる。だからこそ、それぞれの国の政府が自国の人々にとって必要な規制や制度を設け、特に公共サービスやいのちに関わる分野のサービスに関しては、安価で平等なサービスが提供されるよう、よりよい政策を実行する責任がある。しかしTiSAは、こうした各国政府の権限を限りなく弱体化させ、国内法や規制よりも自由貿易協定が上位に来るという形をとる。TPPにも共通するが、まさに私たちの主権が奪われるということなのだ。

(3)民主主義に反する秘密交渉
 すでに日本も参加し、1年以上も交渉が進んでいるTiSAについて、多くの人が知らされていないのはなぜなのか。TiSA交渉はTPP同様、過剰といえる秘密主義がとられているからだ。日本政府でTiSA交渉を担当しているのは外務省だが、そのホームページを見ても交渉に関する詳しい内容はまったくといっていいほど掲載されていない。マスメディアも同様で、交渉は23か月に一度開催されているが、そのこと自体も報道すらされていない。与野党含めて、国会議員の多くはTiSAという単語すら知らないのではないだろうか。
 TiSA交渉の場は、すべてのWTO加盟国に開かれているわけではなく(オブザーバー資格も)、交渉内容は秘密とされている。米国の交渉に関する提案は、「TiSA発効日から5年間、協定が実施されない場合には交渉終結から5年間」機密扱いにするというものだ。TPPのそれが「4年間」であることと比べても、より秘密性が高いといえる。実際に、国際NGOTiSAに対して警鐘を鳴らし、交渉会合のウォッチも続けているが、TPPよりもさらに情報の壁は厚い。

★終わりに
 WTOGATS、そしてTPPTiSA――このような無機的なアルファベットを並べられただけで、多くの人は「難しい話」「自分には関係のない話」と受け止めてしまうだろう。しかしこれら自由貿易協定がめざす中身は共通して、単純明快でありまた私たちの暮らしに直結している。つまり、「グローバル大企業や一部の富裕層がさらに豊かになる”ツール”」であり、言い換えればそうした勢力によって「いのちの市場化」が進められているという恐ろしい現実だ。貿易協定の名前は変わったり、参加する国が違っていたとしても、基本的にWTOからFTA時代へ、そしてメガFTA時代へ突入している現在、いのちの市場化の流れは共通している。

 繰り返すが、TPPから関税部分だけを取り除いたのがTiSAである、ということをふまえれば、私たちの暮らしへの影響は多大である。にもかからず、TiSAそのものや交渉過程がここまで私たちに知らされていないという状況は、危機的である。すでにヨーロッパや米国の市民社会では、TiSAとTTIP、CETAを「大企業に優先な貿易のルールづくり」として位置づけ、批判キャンペーンなども行われている。去る10月11日にはデモなどのアクションも行われた。

妥結後に日本にとって懸念される水道、医療、教育などの公共サービス分野からはもちろん、市民社会全体で、TiSAへの批判的な分析や国会議員へのロビイ活動、キャンペーンなどを早急に立ち上げなければならない。私もEUや米国の国際NGOメンバーとともに、TPP同様、今後
はTiSAに関してもできる限り情報発信やアクションに取り組もうと考えている。ぜひ多くの方の参加を呼びかけたい。